鮮やかな赤紫色が目を引く「ビーツ」。ロシア料理のボルシチに使われる野菜として知られていますが、近年は健康や美容を意識する人たちの間でも注目されている食材です。
「奇跡の野菜」「食べる輸血」といった印象的な名前で紹介されたり、「スーパーフード」として取り上げられたりすることもあります。
これらはいずれも医学や栄養学上の正式な呼称ではありませんが、そんなビーツを見て、「犬にも良いのかな?」「あの赤い色にはどんな栄養があるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。

結論からいうと、健康な犬であれば、ビーツは食べることができる食材です。
特に注目したいのが、鮮やかな色のもとになる「ベタレイン」。このほか、葉酸、カリウム、食物繊維なども含まれています。
一方で、ビーツにはシュウ酸も含まれているため、愛犬の体質や既往歴によっては注意が必要です。
今回は、なぜビーツが「スーパーフード」として注目されているのかというところから、犬にとっての栄養や期待できる働き、与えるときの注意点まで、わかりやすくご紹介します。
犬にビーツをあげても大丈夫?
ビーツは犬にとって中毒などを起こす食材ではなく、健康な犬であれば、適量をおやつやごはんのトッピングとして楽しむことができます。
私たちが一般的に「ビーツ」と呼んでいるのは、カブのような丸い形をした赤紫色の野菜です。見た目はカブに似ていますが、実はほうれん草と同じヒユ科の仲間です。
ほんのりとした甘みと、少し土を思わせるような独特の香りがあり、蒸したり茹でたりするとやわらかく食べやすくなります。
もちろん、犬にとってビーツは健康維持に欠かせない必須の食材というわけではありません。
毎日の主食から必要な栄養をきちんと摂ったうえで、いろいろな食材を楽しむための選択肢のひとつとして取り入れるのがよいでしょう。

ビーツはなぜ「奇跡の野菜」「食べる輸血」と呼ばれるの?
ビーツは、人の健康や美容の分野で「奇跡の野菜」「食べる輸血」といった印象的な名前で紹介されることがあります。
さらに、栄養素だけでなく特徴的な植物成分を含んでいることから、「スーパーフード」として取り上げられることも多い野菜です。
ビーツには、葉酸やカリウム、食物繊維などが含まれるほか、鮮やかな赤紫色をつくるベタレインや、健康・スポーツ分野でも研究されている硝酸塩などが含まれています。
特にビーツやビーツジュースについては、人を対象に、抗酸化作用や血管の働き、血圧、運動時のパフォーマンスなどとの関係が研究されてきました。
こうした特徴から、健康や美容を意識する人だけでなく、スポーツをする人たちの間でも注目されるようになっています。
ただし、ヒトで研究されている働きだからといって、そのまま犬にも当てはめられるわけではありません。
では、犬にとっては、ビーツのどのような栄養や成分に注目できるのでしょうか。
ビーツに含まれる主な栄養と、犬に期待できる働き
ベタレイン|鮮やかな赤紫色をつくる天然色素
ビーツらしさを象徴するのが、あの鮮やかな赤紫色です。
この色のもとになっているのが「ベタレイン」と呼ばれる天然色素。赤紫色のベタシアニンと、黄色からオレンジ色のベタキサンチンに大きく分けられます。
赤いビーツには、ベタシアニンの一種である「ベタニン」が多く含まれています。
ベタレインは植物由来の天然色素で、抗酸化作用についてさまざまな研究が行われています。
ヒトや基礎研究では、ビーツのベタレインについて抗酸化作用を中心にさまざまな研究が行われています。
犬について「ビーツを食べれば老化を防げる」「病気を予防できる」といったところまで確認されているわけではありませんが、毎日の食事にさまざまな植物由来の成分を取り入れるという意味では、興味深い食材のひとつです。

葉酸|細胞や血液をつくるために関わるビタミン
ビーツには、ビタミンB群のひとつである「葉酸」も含まれています。
葉酸は、DNAの合成や細胞分裂などに関わり、からだの中で新しい細胞をつくっていくために必要な栄養素です。赤血球の形成にも関わっています。
なお、ビーツは「食べる輸血」と呼ばれることがありますが、これは医学的な意味をもつ名称ではありません。
総合栄養食などの主食を適切に食べている犬であれば、必要な栄養は基本的に毎日の食事から摂取できます。
葉酸を摂るためにビーツをたくさん食べさせるのではなく、いろいろな食材を楽しむ中で自然に取り入れるくらいに考えるのがおすすめです。
カリウム|筋肉や神経の働きを支えるミネラル
ビーツにはカリウムも含まれています。
カリウムは、筋肉や神経が正常に働くために必要なほか、体内の水分や電解質のバランスにも関わるミネラルです。
健康な犬が適量のビーツを楽しむ分には必要以上に心配する必要はありません。
一方、腎臓病などで食事中のカリウム量を管理している場合は、新しい食材を自己判断で追加せず、かかりつけの獣医師に相談してください。
食物繊維|毎日のおなかの健康をサポート
ビーツには食物繊維も含まれています。
食物繊維は、便の量や状態をととのえたり、腸内細菌の活動に関わったりと、おなかの健康を考えるうえで大切な成分です。
ただし、食物繊維は多ければ多いほどよいわけではありません。
一度にたくさん食べると、犬によってはガスが増えたり、便がゆるくなったりすることもあります。
初めてビーツを食べるときは、少量から試して、便やおなかの様子を確認してあげましょう。
硝酸塩|人の健康・スポーツ分野で注目される成分
もうひとつ、ビーツを特徴づける成分として注目されているのが「硝酸塩」です。
ヒトでは、食物から摂取した硝酸塩は、体内で亜硝酸塩を経て一酸化窒素(NO)につながる経路が知られています。
ヒトでは、ビーツやビーツジュースを使い、血管機能や血圧、運動時のパフォーマンスなどとの関係について研究が行われています。
そのため、ビーツジュースやビーツパウダーが、健康食品やスポーツ栄養の分野で利用されることもあります。
ただし、こうした研究の多くはヒトを対象としたものです。
犬が日常のおやつとしてビーツを食べることで、ヒトと同じ作用が得られると確認されているわけではありません。
「ビーツには、こんな特徴的な成分も含まれている」というところまでを、食材を知るためのひとつの知識として捉えておくとよいでしょう。

犬にビーツを与えるときの注意点
シュウ酸カルシウム結石の既往がある犬は注意
特に、シュウ酸カルシウム結石の既往がある犬や、尿路疾患などで療法食を使用している犬では注意が必要です。
すでに食事療法を行っている場合は、ビーツに限らず、おやつやトッピングを自己判断で追加することで、食事全体の栄養設計が変わってしまうことがあります。
こうした場合は、与える前にかかりつけの獣医師へ相談しましょう。
尿や便が赤くなることがある
ビーツを食べたあと、尿や便が赤色やピンク色に見えることがあります。
これは、ビーツに含まれる赤い色素が排出されたことで起こる場合があり、ヒトでも見られることがあります。
真っ赤なビーツを食べたあとなら驚いてしまうかもしれませんが、色素によるものだけであれば一時的です。
ただし、「ビーツを食べたからだろう」と決めつけないことも大切です。
ビーツを食べていないのに尿が赤い、長く続く、排尿しづらそう、何度もトイレへ行くなど、普段と違う様子がある場合は動物病院へ相談してください。
「食べる輸血」=貧血を治す食材ではない
ビーツは「食べる輸血」と呼ばれることがありますが、これは医学的な意味をもつ名称ではありません。
ビーツには葉酸をはじめとした栄養素が含まれていますが、ビーツを食べることで犬の貧血を治療できるわけではありません。
犬の貧血にはさまざまな原因があり、その原因によって必要な治療も異なります。
元気がない、疲れやすい、歯ぐきが白っぽいなど気になる様子がある場合は、食材で補おうとするのではなく、動物病院で確認してもらいましょう。
味付けや酢漬けのビーツは避ける
犬に与える場合は、基本的に何も味付けしていないビーツを選びます。
市販のビーツには、ピクルスのように酢漬けにしたものや、塩や砂糖で味付けした加工品も多くあります。
こうしたものは犬のおやつには向きません。
水煮やビーツパウダーを使う場合も、原材料表示を確認し、塩や砂糖、調味料などが加えられていないものを選ぶとよいでしょう。
犬へのビーツの与え方
犬にビーツを与えるなら、蒸したり茹でたりしてやわらかくしてから、食べやすい大きさに切る方法がおすすめです。

生のビーツも犬が食べられないわけではありませんが、硬いため、大きなかたまりのまま与えるのは避けたほうが安心です。
加熱したビーツを細かく刻んでごはんへ少量添えたり、つぶしてトッピングしたりすると取り入れやすくなります。
初めて食べる場合は、まずほんの少しから。食べたあとの体調や便の状態を確認しながら、その子に合った量を探してあげてください。
ビーツに限らず、野菜や果物、おやつなど主食以外に食べるものは、一日の食事全体の中で考えることが大切です。
おやつやトッピングなど主食以外から摂るエネルギーは、一日の必要摂取カロリーの10%以内をひとつの目安にするとよいでしょう。
「からだによさそうだからたくさん」ではなく、おいしく楽しめるくらいを、少しずつ。
それくらいの距離感で取り入れるのがおすすめです。
デイリズムでは「きなこ×ビーツ クッキー」に使用しています
one’s dailyの「毎日のおやつ」デイリズムには、愛犬の一日の暮らしに合わせた「あさリズム」「ひるリズム」「よるリズム」があります。
一日のはじまりに寄り添う「あさリズム」のテーマは、「目覚めのスイッチ、オン。」
あさリズムでは、良質なたんぱく質、抗酸化成分、エネルギーになりやすい脂質などに着目し、それぞれの食材を組み合わせています。
そのひとつが、「きなこ×ビーツ クッキー」です。
ビーツは、ベタレインなどの植物由来成分に着目した素材として。きなこは、大豆由来のたんぱく質を含む素材として。さらに、ココナッツオイルなどを組み合わせています。
もちろん、「ビーツを食べれば○○に効く」と、ひとつの食材だけに大きな健康効果を求めているわけではありません。
いろいろな食材には、それぞれ違った栄養や特徴があります。
その特徴を知り、組み合わせながら、おいしく、楽しく、毎日の食に取り入れていく。
デイリズムでは、そんな考え方を大切にしながら、愛犬の一日の暮らしや、おやつを食べる時間まで考えて商品をつくっています。

まとめ
「奇跡の野菜」「食べる輸血」と呼ばれ、スーパーフードとしても注目されているビーツ。
健康な犬であれば、味付けしていないものを少量楽しむことができます。
鮮やかな赤紫色をつくるベタレインをはじめ、葉酸、カリウム、食物繊維などを含み、人の研究では硝酸塩などの特徴的な成分にも注目が集まっています。
一方、ビーツにはシュウ酸も含まれています。シュウ酸カルシウム結石の既往がある犬や、療法食を使用しているなど食事管理が必要な犬では、与える前にかかりつけの獣医師へ相談しましょう。
どんなに魅力的な食材でも、それひとつですべての健康を支えられるわけではありません。
それでも、いろいろな食材の香りや味、色、食感を知ることは、毎日の「食べる楽しみ」を広げてくれます。
ビーツも、そんな食の選択肢のひとつとして、愛犬と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
