お味噌汁のだしや煮物など、日本の食卓で昔から親しまれてきた「こんぶ(昆布)」。海藻ならではの風味があり、ヨウ素や食物繊維、ミネラルを含む食材として知られています。
そんなこんぶを、愛犬の食事やおやつにも取り入れてみたいと思ったことはありませんか?

犬にこんぶ(昆布)をあげても大丈夫?
結論からいうと、健康な犬であれば、味付けされていないこんぶを食べることはできます。
ただし、こんぶはヨウ素を非常に多く含む食材です。少量でもヨウ素の摂取量が大きくなることがあるため、量や与える頻度には注意が必要です。
「からだによさそうだから」とたくさん与えるのではなく、普段の食事とのバランスを考えながら取り入れたい食材です。
こんぶそのものには、犬が少量食べたことで直ちに問題になるような成分が含まれているわけではありません。無調味のものを適量取り入れるのであれば、犬も食べられる食材です。
一方で、こんぶは「たくさん食べるほど健康によい食材」ではありません。
特に注意したいのがヨウ素です。ヨウ素は犬のからだにも必要な栄養素ですが、こんぶには非常に多く含まれているため、普段の食事へ自己流で大量に追加する必要はありません。
また、大きく硬い乾燥昆布のままだと、犬にとって食べにくく消化もしづらいため、そのまま与えるようなことは避けましょう。
こんぶはどんな食材?

こんぶは、海の中で育つ褐藻類の一種です。
日本では真昆布、利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布など、さまざまな種類が食用として利用されています。種類や産地、加工方法によって含まれる栄養成分には違いがありますが、食物繊維やカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルを含み、なかでもヨウ素が多いことが大きな特徴です。
文部科学省の日本食品標準成分表では、素干しのまこんぶ100gあたりに32.1gの食物繊維が含まれています。もちろん、犬に100gもの昆布を与えるという意味ではありません。乾燥した昆布は栄養成分が凝縮されているため、少量でも特徴のある食材だと考えるとよいでしょう。
こんぶに含まれる主な栄養と、犬に期待できる働き
ヨウ素|からだに必要なミネラルのひとつ
こんぶを代表する栄養素のひとつが、ヨウ素です。
ヨウ素は、甲状腺ホルモンをつくるために必要なミネラルです。甲状腺ホルモンは、エネルギー代謝や体温の維持、成長など、からだのさまざまな働きに関わっています。
犬にとってもヨウ素は必要な栄養素ですが、ここで大切なのは、「必要だから多く摂ればよい」わけではないということです。
普段、総合栄養食を食べている犬であれば、必要なミネラルは主食から摂れるように設計されています。こんぶを「ヨウ素補給のためのサプリメント」のように大量に追加する必要はありません。
食物繊維|おなかの環境を考える素材として
こんぶには食物繊維が多く含まれています。
こんぶをはじめとする褐藻類には、アルギン酸やフコイダンなど、海藻ならではの多糖類が含まれています。
食物繊維は消化されずに大腸へ届き、便の状態や腸内環境を考えるうえで大切な食事成分のひとつです。
ただし、「こんぶを食べれば腸内環境が改善する」と犬で十分に証明されているわけではありません。
また、こんぶは少量ずつ取り入れる食材であるため、実際に摂取できる食物繊維の量も限られます。
食物繊維を多く摂ることを目的とするのではなく、海藻ならではの成分や風味を持つ食材のひとつとして知っておくとよいでしょう。
カリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラル
こんぶには、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、からだのさまざまな働きに関わるミネラルも含まれています。
これらは犬にとっても必要な栄養素ですが、ミネラルはそれぞれを単独でたくさん摂ればよいものではありません。主食とのバランスを含めて考えることが大切です。
「ミネラルが豊富だからたくさんあげよう」ではなく、こんぶの持つ風味や食物繊維も含めて、少量を食事の楽しみとして取り入れるくらいがちょうどよいでしょう。
海藻由来成分と抗酸化研究
海藻にはポリフェノールなど、抗酸化との関係が研究されている成分も含まれています。
犬を対象とした海藻の研究も行われています。
2025年に報告された研究では、30頭のゴールデンレトリーバーを対象に、海藻抽出物の摂取による影響が調べられました。この研究では、軟便傾向のある犬に海藻抽出物を含む食事を28日間与えたところ、抽出物を与えなかったグループと比べて、便の状態や血液中の抗酸化関連指標などに変化が認められました。
犬の食事に海藻を活用する可能性を考えるうえで興味深い研究です。
ただし、使用されたのはコンブの仲間から得られた特定の海藻抽出物であり、私たちが普段食べている昆布や、昆布を使用したおやつそのものの効果を調べた研究ではありません。そのため、現時点では「こんぶを食べれば抗酸化作用によって健康状態が改善する」とまでは言えません。
海藻に含まれる成分について、犬でも少しずつ研究が進められている段階と考えるのがよいでしょう。

犬にこんぶを与えるときの注意点
「多いほどよい」わけではない
こんぶを与えるときに、もっとも意識したいのがヨウ素の量です。
犬にとってヨウ素は必要な栄養素ですが、過剰なヨウ素を含む食事によって甲状腺機能に影響がみられた犬の研究も報告されています。
一度に与える量が少なくても、昆布の種類や加工方法によってヨウ素の含有量は異なります。必要以上に怖がることはありませんが、日常的に与える場合は、普段の食事やほかの海藻製品から摂取するヨウ素の量も考えることが大切です。
乾燥昆布を大きなまま与えない
乾燥昆布は硬く、大きなままでは噛みにくいうえ、丸飲みすると喉や消化管の負担になる可能性があります。
家庭で取り入れる場合は、やわらかくしたものを細かく刻む、粉末状のものをごく少量使うなど、食べやすい形にしましょう。
塩昆布・佃煮・昆布茶などは避ける
私たちが食べる昆布加工品の中には、塩分や砂糖、しょうゆ、調味料などが加えられているものがたくさんあります。
塩昆布、昆布の佃煮、おしゃぶり昆布、味付きとろろ昆布、昆布茶、顆粒だしなどは、犬のおやつとしてそのまま与えるのには向きません。
犬に与えるのであれば、基本は味付けされていないものを選びましょう。
「昆布だしならたくさん飲んでも大丈夫」とは限らない
昆布そのものを食べさせるのではなく、「だし汁なら大量にあげてもよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
ただし、ヨウ素は昆布から水へ溶け出します。調理に関する研究でも、昆布に含まれていたヨウ素の多くが、だしへ移ることが確認されています。「液体だからヨウ素がほとんど入っていない」と考えて大量に与えるのは避けましょう。
甲状腺疾患や食事制限がある場合は獣医師へ
甲状腺の病気がある犬や、療法食を利用している犬、ミネラル摂取量の調整が必要な犬では、自己判断でこんぶや海藻サプリメントを追加しないほうが安心です。
持病がある場合や投薬中の場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。

犬にこんぶを与えるなら、どう取り入れる?
こんぶは「たくさん食べさせる食材」ではなく、少量を食事やおやつの中に取り入れる食材として考えるのがおすすめです。
- 味付けされていないものを選ぶ
- 大きな乾燥昆布をそのまま与えない
- 細かくする、粉末を少量使うなど食べやすくする
- 初めての場合は少量から様子を見る
- ヨウ素補給を目的に自己流で量を増やさない
どんな食材にもいえることですが、「からだによい成分がある」ことと、「たくさん食べたほうがよい」ことは同じではありません。
普段の食事を基本にしながら、いろいろな食材の香りや味を楽しむ。その中のひとつとして、こんぶを取り入れてみてください。

デイリズムでは「こんぶ×にんじんクッキー」に
one's dailyの毎日のおやつ「デイリズム」では、あさリズムのひとつ「こんぶ×にんじんクッキー」に、根昆布粉末を使用しています。
あさリズムは、一日のはじまりを意識し、良質なたんぱく質、抗酸化成分、エネルギーになりやすい脂質などに着目したおやつシリーズです。
「こんぶ×にんじんクッキー」では、こんぶだけにひとつの健康効果を求めるのではなく、にんじん、ココナッツオイル、オートミールなど、特徴の異なる素材を組み合わせています。
こんぶのうまみと風味も、おやつを楽しむ魅力のひとつ。健康のために何かを我慢するのではなく、おいしく食べる時間の中で、いろいろな素材を自然に取り入れてもらえたらと考えています。

まとめ|こんぶは「少量を上手に楽しむ」食材
こんぶは、健康な犬であれば食べることのできる食材です。
食物繊維やミネラルを含み、海藻ならではの風味も楽しめます。一方で、ヨウ素を非常に多く含むという特徴があるため、健康によさそうだからと大量に与える必要はありません。
味付けされた加工品や大きな乾燥昆布は避け、食べやすい形で少量から。普段の食事とのバランスを大切にしながら、愛犬が楽しめる食材のひとつとして取り入れるのがよいでしょう。
いろいろな食材を知り、愛犬がおいしく食べられる選択肢を少しずつ広げていく。その積み重ねも、毎日の食事やおやつを楽しむひとつの方法です。
参考文献
Zhang M, et al. (2025). Effects of supplemental seaweed extract on antioxidant properties, loose stools, gut microbiota, and its metabolite composition in adult dogs. Journal of Animal Science, 103, skaf149.
