「愛犬が夜になってもなかなか落ち着かない」「ぐっすり眠れているのか気になる」
そんなときに知っておきたいのが、睡眠や生活リズムに関わる「メラトニン」と「セロトニン」です。
メラトニンは、暗くなったことをからだに伝え、眠りに向かうリズムを支えるホルモンです。一方、セロトニンは、行動や感情、食欲、睡眠など、幅広い働きに関わる神経伝達物質です。
本記事では、メラトニンとセロトニンの基本を整理しながら、愛犬の睡眠やリラックスを支えるために、朝・昼・夜の過ごし方やおやつ習慣で意識したいことを紹介します。

メラトニンとセロトニンとは?
メラトニンは睡眠と体内時計に関わるホルモン
メラトニンは、主に脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるホルモンです。「睡眠ホルモン」と呼ばれることもありますが、直接眠らせるというより、からだに夜の訪れを知らせ、休息に向かう準備を支える役割を担っています。
メラトニンの分泌は光と深く関係しています。一般的には、明るい時間帯には分泌が抑えられ、暗くなると高まりやすくなります。
犬のからだにも体内時計があり、明るい時間と暗い時間の変化を手がかりに、活動と休息のリズムをつくっています。そのため、夜になっても室内が強く照らされていたり、遅い時間まで興奮する活動が続いたりすると、休息へ切り替わりにくくなることがあります。
セロトニンは心身の安定や活動に関わる神経伝達物質
セロトニンは、脳や消化管などで働く神経伝達物質です。行動、感情、食欲、睡眠など、さまざまな生理機能に関係しています。
「ハッピーホルモン」「幸せホルモン」と紹介されることもありますが、セロトニンが多ければ単純に幸せになる、というものではありません。実際には、ほかの神経伝達物質や受容体などと関わりながら、複雑に作用しています。
愛犬がリラックスしているかどうかも、セロトニンだけで判断することはできません。表情や姿勢、呼吸、食欲、遊び方、飼い主との距離感など、日々の様子を総合的に見ることが大切です。
セロトニンとメラトニンのつながり
セロトニンとメラトニンは、まったく別々に働く物質ではありません。からだの中では、セロトニンをもとに、いくつかの段階を経てメラトニンがつくられます。
このように、セロトニンとメラトニンは、体内での合成過程を通じてつながっています。ただし、それぞれが「昼のホルモン」「夜のホルモン」と単純に役割分担しているわけではなく、ほかの神経伝達物質や生活環境などとも関わりながら働いています。
ただし、特定の食材を食べればセロトニンやメラトニンがすぐに増え、眠りやすくなるという単純な仕組みではありません。睡眠は、光、活動、食事、環境、年齢、健康状態など、さまざまな要素に左右されます。

犬の睡眠とリラックスに関わる仕組み
犬にも朝と夜を区別する体内時計がある
犬も、体内時計に基づいた一日のリズムを持っています。一般的に、明るい時間帯には活動し、暗い時間帯には休息が増える傾向があります。
一方で、犬は人のように夜間だけまとめて眠るとは限りません。1日に何度も眠ったり、起きたりする「多相性睡眠」の動物です。
犬は、1日の約半分前後を眠って過ごすことが多いとされていますが、睡眠時間は年齢や生活環境、活動量などによって異なります。子犬やシニア犬では、健康な成犬よりも長く眠る傾向があります。
寝たり起きたりを繰り返しながら、それぞれに必要な睡眠時間を確保しています。
そのため、昼寝をしているから夜に眠れないとは一概にいえません。日中にも適度に休みながら、散歩や食事、飼い主との生活に合わせて、活動と睡眠のリズムをつくっています。
夜になると眠りに向かうリズムがつくられる
夕方から夜にかけて周囲が暗くなり、活動が落ち着いてくると、からだは少しずつ休息へ向かいます。メラトニンは、この夜の時間帯を知らせる手がかりのひとつです。
ただし、メラトニンだけが睡眠を決めているわけではありません。安心して過ごせる場所があること、室温が快適であること、大きな音や強い光が少ないことも、犬の眠りに関わります。
また、痛みやかゆみ、呼吸のしづらさ、排泄の問題などがあると、夜に落ち着かなくなることがあります。睡眠の変化が続く場合は、単なる生活リズムの乱れと決めつけず、体調面にも注意しましょう。
光・活動・食事とメラトニン、セロトニンの関係
朝の光が一日の体内時計をととのえる
朝になったらカーテンを開け、自然な光を取り入れましょう。朝の光は、夜が終わり、一日が始まったことを体内時計に伝える重要な手がかりです。
朝に明るく、夜に暗い環境をつくることで、一日の区切りが分かりやすくなります。
朝の散歩が難しい日でも、窓辺で光を感じたり、明るい室内で活動を始めたりすることはできます。朝と夜の違いをつくることを意識しましょう。
日中の散歩や適度な活動が生活リズムを支える
散歩や遊び、飼い主とのコミュニケーションは、日中の活動時間をつくる大切な習慣です。
ただし、激しく運動させれば眠りが深くなるとは限りません。犬種や年齢、体調、気温に合わせて、無理のない活動量を考える必要があります。
特に夏場やシニア犬では、長時間の運動にこだわらず、短い散歩、室内遊び、においを使った遊びなどを組み合わせるとよいでしょう。
食事の時間も一日のリズムをつくる手がかり
体内時計は、光だけでなく、食事や活動など毎日の習慣からも影響を受けます。
朝・昼・夜の食事が体内時計とどのように関わるのかは、「体内時計と食事の関係|朝・昼・夜のリズムがからだに与える影響」で詳しく紹介しています。
大切なのは、毎日一分単位で同じ時刻に食べさせることではありません。朝になったら活動を始め、日中は適度に動き、夜は落ち着いて休むという大きな流れの中に、食事やおやつを配置することです。
食事や散歩の時間が日によって大きく変わりすぎないようにすることも、愛犬にとって生活の見通しをつくる助けになります。
夜の強い光や興奮が続く環境に注意する
夜になっても室内が非常に明るい状態が続いたり、大きな音や遊びで興奮した状態が続いたりすると、昼と夜の区切りが曖昧になりやすくなります。
飼い主が夜遅くまで起きている家庭でも、犬が休む場所は少し照明を落とし、静かに過ごせるようにするとよいでしょう。
家族の生活に犬を完全に合わせるのではなく、愛犬が先に休める環境を用意することも大切です。

愛犬の睡眠リズムをととのえるために意識したいこと
朝・昼・夜にそれぞれの役割をつくる
愛犬の生活リズムを考えるときは、睡眠時間だけを見るのではなく、一日全体を振り返りましょう。
朝は光を浴びて活動を始める時間、昼は散歩や遊びを楽しむ時間、夜は照明や音を抑えて休息に向かう時間というように、時間帯ごとの流れをつくります。
毎日完璧に同じスケジュールで過ごす必要はありません。多少の変化があっても、朝・昼・夜の大きな流れがととのっていれば、愛犬にも一日の区切りが伝わりやすくなります。
睡眠の変化を年齢のせいだけにしない
犬の睡眠は、年齢や生活環境によって変化します。シニア期には昼間の睡眠が増えたり、夜中に目を覚ましたりすることもあります。
ただし、夜鳴き、徘徊、呼吸の乱れ、頻繁な排泄、痛そうな様子などが見られる場合は、生活リズム以外の原因が隠れている可能性があります。
愛犬の眠りに気になる変化がないか、「愛犬の睡眠の質をチェック」記事を参考に、普段の様子を振り返ってみましょう。
急な変化や、日常生活に影響する状態が続く場合は、早めに動物病院へ相談してください。
夜のおやつで気をつけたいこと
就寝直前の食べすぎを避ける
夜のおやつは、必ずしも避けなければならないものではありません。愛犬とゆっくり過ごす時間や、一日の終わりのコミュニケーションとして取り入れることもできます。
ただし、就寝直前にたくさん食べさせたり、脂質やカロリーの高いものを繰り返し与えたりするのは避けましょう。
夜に与える場合は少量を意識し、一日の食事とおやつを合わせた総摂取カロリーの範囲内で調整することが大切です。
おやつを夜の落ち着いた習慣にする
毎晩のおやつを、激しく遊んだあとの興奮した状態で与えるよりも、照明を少し落とし、ゆっくり過ごす時間に取り入れると、夜の流れをつくりやすくなります。
おやつそのものに犬を眠らせる働きを求めるのではなく、「そろそろ落ち着いて過ごす時間」という生活上の合図として活用する考え方です。
夜に向いているおやつの内容や、避けたい与え方については、「夜のおやつ選び|心地よい眠りとリラックスを意識したおやつ習慣」もあわせてご覧ください。
なお、メラトニンを含む人用のサプリメントや睡眠対策商品を、飼い主さんの判断で犬に与えないようにしましょう。使用を検討する場合は、必ず獣医師に相談してください。

夜のリズムを意識したデイリズムの考え方
朝・昼・夜の生活リズムに合わせておやつを考える
デイリズムは、「ペットの時間栄養学™️」に基づいて設計されたおやつで、「何をあげるか」だけでなく、「いつあげるか」という視点から考えています。
朝は一日の始まり、昼は活動する時間、夜は休息へ向かう時間。それぞれの時間帯に合わせておやつを選ぶことで、愛犬の一日の流れを意識するきっかけをつくります。
夜のおやつも、単に空腹を満たすためだけのものではありません。照明を落とし、遊びや活動を終えてゆっくり過ごす時間に取り入れることで、「そろそろ一日を終える時間」という穏やかな習慣のひとつになります。
「よるリズム」が大切にしている夜のおやつ習慣
よるリズムのテーマは、「おやすみ前の、リセット」です。
活動を終えた愛犬と穏やかに過ごす、一日の終わりのリラックスタイムに取り入れられるよう設計しています。
特徴的な原材料として、自然由来のGABAを含む発酵いりぬかと、麻布大学獣医学部の研究から生まれた乳酸菌を配合しています。
ただし、よるリズムは、愛犬を直接眠りにつかせたり、メラトニンやセロトニンを増やしたりすることを目的としたものではありません。夜のおやつを愛犬と穏やかに過ごす時間に取り入れ、一日の終わりを意識する習慣として楽しむための提案です。

夜の水分補給を意識した与え方も
よるリズムは、そのまま与えるだけでなく、水やヤギミルク、味付けをしていない鶏のゆで汁、かつおでとっただしなどで溶いて与えることもできます。
ヤギミルクや鶏のゆで汁、だしを使用する場合は、食塩や調味料、にんにく、ねぎ類などを加えていないものを使用してください。また、ヤギミルクなどに含まれるカロリーも考慮し、一日の総摂取カロリーの範囲内で取り入れましょう。
日中にあまり水を飲まなかった日や、空気が乾燥しやすい季節には、夜に水分をとるきっかけとして取り入れられます。
ただし、就寝直前に多量の水分を与えると、夜間の排泄が増える場合があります。愛犬の体格や飲水量、排泄のリズムに合わせて、無理のない量に調整しましょう。
ヤギミルクやチキンスープ、かつおだしなどを使用する場合は、犬用または調味料を加えていないものを選びます。それらの液体に含まれるカロリーも含めて、一日の総摂取カロリーの範囲内で取り入れてください。
まとめ|睡眠は一日の生活リズム全体から考える
メラトニンは、暗くなったことをからだに伝え、睡眠と体内時計のリズムを支えるホルモンです。セロトニンは、行動や感情、食欲、睡眠など幅広い働きに関わる神経伝達物質で、メラトニンがつくられる過程にも関係しています。
ただし、この二つの物質だけで、愛犬の睡眠やリラックスが決まるわけではありません。
朝は光を浴び、昼は無理のない範囲で活動し、夜は照明や音を抑えて穏やかに過ごす。食事やおやつもその流れの中で考えることが、愛犬にとって分かりやすく、心地よい生活リズムにつながります。
よるリズムも、おやつだけで睡眠をととのえようとするものではありません。一日の終わりに愛犬とゆっくり過ごし、活動から休息へ切り替えるための穏やかな習慣として取り入れてみてください。
