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監修者インタビュー|「何を食べるか」から「いつ食べるか」へ。柴田重信先生に聞く、犬と時間栄養学

目次

愛犬の食事やおやつを選ぶとき、多くの飼い主さまが原材料や栄養バランスを大切にしていると思います。そんな中で、体内時計の研究からは、「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」によっても、栄養の使われ方が変わることが分かってきました。

朝・昼・夜のリズムに合わせて設計した愛犬のおやつ「デイリズム」。その監修を務める柴田重信先生は、時間栄養学を設立・構築し、食・栄養・運動のタイミングと体内時計の関係を研究してきました。

時間栄養学とはどのような学問なのか。その考え方は犬にも応用できるのか。食事とおやつの時間をどう考えればよいのか。ペット領域ではまだ研究途上にあることも含め、代表の森崎繭香が柴田先生に伺いました。

 

回答:柴田重信先生
取材・聞き手:森崎繭香
構成・編集:one’s daily編集部
取材日:2026年7月11日

時間栄養学の基礎

Q1. 時間栄養学とは何ですか?

柴田先生:ヒトだけではなく、動物すべてが「体内時計」を持っています。その時計が、栄養の配分や、食べたものの吸収・代謝・排泄など、さまざまな働きを調節しています。

そのため、口から入った食べ物や栄養も、食べる時間の影響を受けます。実際に検証してみると、同じものでも、食べる時間によって働き方が変わることが分かっています。

生体が食べたものを効率よく自分のものにするうえで、体内時計が役立っている。そうした食と時間の関係を考えるのが、時間栄養学です。

Q2. なぜ「いつ食べるか」も大切なのですか?

柴田先生:「何を食べるか」はもちろん非常に重要です。たんぱく質を食べるのか、炭水化物を食べるのか、塩分の多いものを食べるのか。食べる内容によって働きは変わります。

それに加えて、同じものでも「どういう時間に食べるか」によって、働き方がずいぶん変わります。例えばヒトでは、同じ量のたんぱく質を摂っても、朝に重点を置いた場合と夜に重点を置いた場合で、筋肉のつき方が異なることが分かっています。

夜遅い時間の食事についても、好ましくないことを示すデータが出ています。ですから、何を食べるかとあわせて、「いつ食べると効率的か」を知ることが大切です。

Q3. なぜ今、時間栄養学が注目されているのでしょうか?

柴田先生:大きな背景には、体内時計の仕組みがよく分かるようになってきたことがあります。肝臓や膵臓、筋肉など、体のさまざまな場所に体内時計があり、時刻を調整する仕組みを持っていることが分かってきました。

それによって、食べたものや栄養が、どの時間に、どの臓器で働きやすいのかを考えられるようになりました。朝型・夜型の違いや、シフトワークで体内時計が乱れやすい人に対しても、いつ食べると栄養を効率よく使えるのかを知りたいという社会的な要請があります。

もう一つは、文明が発達し、夜でも明るい場所で活動し、自由な時間に食事ができるようになったことです。昼に活動して夜に休むという本来の生活と、現代の暮らしはずれやすくなっています。だからこそ、意識して時間を使う必要があるのだと思います。

犬の食事・おやつ時間

Q4. 犬にも時間栄養学を応用できるのでしょうか?

柴田先生:犬にも体内時計がありますから、時間栄養学の考え方を応用できる可能性はあると思います。犬もヒトと暮らすようになり、夜遅い時間まで一緒に起きていたり、遅い時間に食べたりすることがあります。それが体重増加などにつながる可能性は考えられます。

ただし、動物によって結果の現れ方は違います。夜行性の動物もいれば、昼行性の動物もいます。それぞれが体内時計をうまく使って生活していますが、その使い方は動物種によって少しずつ異なります。ヒトの知見を犬へそのまま当てはめるのではなく、共通点と違いの両方を見る必要があります。

Q5. ペットではどこまで研究が進んでいますか?

柴田先生:家畜では、生産性を上げるという目的から、どのタイミングで食事を与えると成長や体重にどう影響するかといった研究が進んでいます。鳥などでも、給餌のタイミングに関する研究はあります。

一方で、犬や猫などのペットは研究の目的が違うため、時間栄養学の研究はまだあまり進んでいません。ヒトでは分かることが増え、社会への応用も進んできましたが、ペットの領域はこれからだと思います。

Q6. 犬にとって、おやつにはどのような役割があるのでしょうか?

柴田先生:ヒトの時間栄養学では、昼間の空腹時間を長くしすぎない一方で、夜は食べない時間をきちんと確保することが大切だと考えられています。

犬の場合も、朝ごはんから夕ごはんまでの時間が長く空くのであれば、間食をうまく使って、昼間の空腹時間が長くなりすぎないようにするのも一つの考え方だと思います。おやつは、単なるごほうびではなく、食事と食事の間を補うものとして活用できます。

ただし、おやつが欲しいからといって、だらだらと与え続けるのはよくありません。食べる時間と食べない時間に、ある程度のメリハリをつけることが大切です。

もう一つ大事なのは、おやつを食事とは別に追加しないことです。1日に必要な摂取量が決まっているなら、その総量の中で食事とおやつを割り振る、というのが基本的な考え方です。

また、朝ごはん、夕ごはん、間食の時間が、日によって大きくばらつくより、ある程度決まっている方が、体はそのリズムに入りやすくなります。

おやつを食事とは別に追加しないことです。
1日に必要な摂取量が決まっているなら、
その総量の中で食事とおやつを割り振る、
というのが基本的な考え方です。

Q7. 朝・昼・夜で、おやつの役割は変わりますか?

柴田先生:時間帯によって、何を補うか、どのように使うかを考えることはできます。

朝の食事では、質のよいたんぱく質を意識することが大切です。たんぱく質が少し足りていない場合には、散歩や運動の後のおやつで補うという考え方があります。頑張ったごほうびをあげるときにも、目的に合うものを選ぶとよいと思います。

朝食から夕食まで長く空く場合には、昼から夕方にかけての間食をうまく使えます。特に、飼い主さんの帰宅が遅く、夕食が夜遅くなる家庭では、夕食の一部を早い時間の間食として移す考え方があります。

その際は、単に食事の量を移すだけでなく、その時間帯に何をとるかまで考えることが大切です。

食物繊維や乳酸菌を含む間食を夕方に取り入れることが、遅い夕食後の血糖値にどのような影響を与えるかは、今後検証していく必要があります。

夜は、できるだけ食事が遅くなりすぎないようにし、食べない時間を確保することが大切です。夜寝る前にどうしても食べたがる場合には、カロリーの少ないものを選ぶ考え方があります。

夜遅い食事と睡眠の質の関係は、ヒトではよく言われています。ただし、それを犬の睡眠にそのまま当てはめることはできません。

デイリズムの設計と今後

Q8. デイリズムの監修で大切にしたことは?

柴田先生:大切なのは、犬も体内時計を持っていることを前提に、リズム性を意識して作ることです。朝ごはんと夜ごはんには、それぞれの意味があります。普段の主食を大きく変えないのであれば、間食をうまく使うことができます。

例えば、夜の食事がどうしても遅くなる場合には、夕食の一部を早い時間の間食として食べてもらう。ただ一部を早い時間に移すだけではなく、その中身も考えることが大切です。食物繊維をしっかり入れる、この時間帯なら炭水化物を少し入れる、といったように、時間帯に合わせて内容まで考えて設計している点が重要だと思っています。

Q9. 「ペットの時間栄養学™」を、今後どう発展させたいですか?

柴田先生:ヒトでは時間栄養学について分かることが増え、社会への応用も進んできました。一方、ペットの領域はまだ始まったばかりです。実際に取り入れてみると、トライアンドエラーが必要な部分も出てくると思います。

研究では、条件をできるだけそろえて差を見ます。しかし、実際の生活では、犬の性格や年齢、犬種、飼い主さんの暮らし方など、さまざまな条件が重なります。研究条件の中だけでなく、日常生活の中でもよい変化が感じられるものが、本当に役立つものだと思います。

ですから、実際に使った犬の様子や飼い主さんの声を集め、朝の運動後、日中の過ごし方、夜の睡眠などを見ながら、確かめていくことが大切です。

研究条件の中だけでなく、
日常生活の中でもよい変化が感じられるものが、
本当に役立つものだと思います。

Q10. 飼い主の皆さまへ、メッセージをお願いします。

柴田先生:犬の生活リズムは、どうしても飼い主さんの生活に合いやすくなります。飼い主さんがおやつを食べると、犬も欲しがることがあると思いますが、犬には、きちんと犬のことを考えて作られたものを選んでほしいと思います。

デイリズムは、ヒトのことも意識して作られています。飼い主さんと犬が一緒に、朝・昼・夜のおやつとして試してみるのもよいかもしれません。毎日の生活の中に取り入れながら、それぞれの犬の様子を見て、実感してみてほしいですね。

インタビューを終えて。柴田重信先生と、聞き手を務めた森崎繭香(2026年7月11日)。

編集部より

「ペットの時間栄養学™」は、まだ研究が始まったばかりの領域です。デイリズムでは、特定の効果を断定するのではなく、朝・昼・夜の生活リズムと、1日の総摂取量の中でのおやつの役割を考えながら、商品設計と検証を続けています。

食事の回数や時間、おやつの適量は、犬の年齢、体格、活動量、健康状態によって異なります。持病がある場合、療法食を利用している場合、投薬中の場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。